開業3年目で、大家になった。腕一本の治療家が、築45年の物件付き土地を選んだ理由

毎月払っている家賃は、誰の資産になっているでしょうか。
僕は開業3年目に、新所沢で築45年の建物が付いた土地を買いました。今はそこが2号店で、2階は税理士事務所に貸しています。
この記事では、なぜ買ったのか、どう探したのか、買ってから何が変わったのかを書きます。金額は書きません。数字は、オンラインコミュニティの中だけで出しています。
新所沢の2号店の外観。築45年の建物の1階を店舗に改装した
今の2号店(新所沢)。築45年の建物の1階です
目次

1号店は借りている。2号店は、買った

2019年2月、飯能で1号店を開きました。この店は、今も家賃を払って借りています。

その2年4か月後の2021年6月。新所沢に、築45年の木造2階建てが付いた土地を買いました。約16坪。1階は元飲食店、2階は住居でした。

今は1階が2号店。2階は税理士事務所に貸しています。つまり僕は、借りる側のまま、貸す側にもなりました

図1 家賃の行き先が変わる
借りる(1号店) 持つ(2号店) 毎月の家賃 大家さんへ 手元には残らない 家賃相当分 自分の資産に + 2階から家賃が入る
同じ「家賃」でも、行き先が変わる。2階を貸せば、入ってくる側にも回る

なぜ「自分の店の土地」だったのか

開業したころから、労働以外の収入をつくりたいと考えていました。株も、不動産も、他の投資も、ひととおり調べたり試したりしました。

その中で「いちばん見通しが立つ」と思ったのが、自分が店をやりたいと思った場所の不動産でした。

理由は単純です。店を開けば、家賃を払う。その家賃を、他人に払う代わりに、自分の資産に回せる。しかも、その場所の人の流れや客層は、治療家として自分で調べられる。きちんと調べた上で「ここでやる」と決めた場所なら、利益の見通しが立てやすい。そう考えました。

見ていたのは価格ではなく、価値。「ここで自分が店をやったら、どれだけの価値になるか」。その価値が値段を上回るなら、買う。

何百件から、50件を見に行った

飯能を開いたころから、物件を検索し続けました。候補として見つけた物件は、何百件。そのうち気になったものは、現地へ行きました。目線はいつも「ここで店をやったらどうか」。約2年で、実際に見に行ったのは50件ほどです。

図2 何百件の候補から、1件
検索で見つけた候補は何百件。足を運んだのは約50件。買ったのは1件

宅建は、開業する前に受験していました。不動産投資には前から興味があって、いつか買うつもりでいたからです。不動産の世界は昔から「千三つ」と言われます。本当のことは千に三つ、という意味です。売る側の話を、自分で判断できる知識がほしかった。結果は、合格点まで5点足りず。目的は資格ではなく「判断できること」だったので、再受験はしていません。

篠原
篠原のひとこと

宅建は、開業する前に受けました。合格点まで5点足りなかったけれど、ほしかったのは資格ではなく「売る側の話を自分で判断できること」。それは手に入りました。

知っておいてほしいのは、不動産は、世の中の人がみんな得をしようとしている業界だということです。いい物件は、千に三つ。それをみんなで奪い合っている、競争の厳しい世界です。それを知らずに「安そうだから」で買うのが、いちばん危ない。

もうひとつやったのが、相場を自分で持つことです。不動産の価格には、評価の基準が5つあります。実際に売り買いされる実勢価格地価公示価格都道府県地価調査価格、相続税の計算に使う路線価、そして固定資産税評価額。同じ土地でも、基準ごとに数字が違います。これらを不動産関連の人と話しながら、「この辺りの、この築年数なら、だいたいいくら」という目安を自分の中につくりました。目安があると、「安い」「高い」を自分の言葉で言えるようになります。

なぜ2021年だったのか

コロナでした。飲食店が閉店し、空きテナントが増え、先行きの不安から物件を手放すオーナーも増えました。買う側から見れば、相場より安く出る物件が増える時期です。ここは狙い目だと思いました。

見つけたのが、新所沢の物件です。自分の目安より、かなり安く買えました。資金は、開業時から貯めていた自己資金と、足りない分は親戚に頭を下げて借りました。「ここまで安く買えるタイミングは、もう来ない」と思ったからです。

図3 買ってから、店を開くまで
2019年2月 2021年6月 2024年8月 1号店を開業 飯能・賃貸 土地を取得 新所沢・築45年 1階は事務所として使う 2号店を開店 2階は税理士に賃貸 取得から開店まで3年。いい人材が来るまで待った
場所は先に押さえた。あとは人。開業は、人材が揃ってから

買ってすぐに店を開いたわけではありません。コロナもあって、すぐ開業とはいきませんでした。僕は「場所と人材があれば、店はできる」と考えています。場所は先に押さえた。あとは人材。いい人が来てくれたら開業しようと決めて、待ちました。

買ってから、何が変わったか

同じ規模の店を借りれば、毎月の家賃が出ていきます。それが、ありません。さらに2階からは、家賃が入ってきます。

数字より大きかったのは、気持ちの余裕です。景気が悪くなって店の利益がトントンになっても、家賃の支払いはなく、家賃収入はある。「店の利益さえ出ていれば成り立つ」ではなく、「店がトントンでも成り立つ」。この差は、経営者の判断の落ち着きに直結します。

しんどかったこと

古い建物です。ネズミが出ました。水回りが壊れ、換気扇が止まり、電気系統も早めに傷みました。修繕費は、思っていたよりかかっています。

篠原
篠原のひとこと

築45年は、こういうことです。ネズミ、水回り、換気扇、電気系統。買う前に、修繕費は必ず見込んでください。

それから、ご近所。看板の位置でお隣からクレームが入り、工事をやり直しました。トラブルというほどではないけれど、しんどかった。

そして最大のリスク。大きなお金を動かすので、買ったら、すぐには変えられない。これが不動産です。僕は買ってよかったと思っていますが、不動産投資そのものを人に勧めることはしません

治療家が土地を買うときの、4つの型

1
自分が店をやりたい場所を買う。人の流れも客層も、自分で調べられる場所だから
2
相場は自分で持つ。評価の基準を知り、不動産関連の人と話して目安をつくってから物件を見る
3
売り手が急いでいる時期を待つ。僕の場合はコロナだった
4
自己資金は、チャンスの前から貯めておく。事業資金は借入、利益は手元に

よくある間違い

×
千に三つを奪い合う世界だと知らずに買う
×
「安いから」だけで買う。先に「自分の店の場所として成り立つか」
×
知識ゼロで、業者の言い値で判断する
×
築古の修繕費を見込まない

僕が言いたいこと

投資は大事。何を考えて買うかは、もっと大事。

不動産投資は勧めません。でも、僕らの業界で、きちんと調べた上で「不動産+自分の店」をやるなら、生産性はかなり上がる。

労働で稼ぐ所得と、投資からの所得。治療家にとって、不動産もその選択肢に入る。それを伝えたくて、この記事を書きました。

篠原
篠原のひとこと

不動産投資は勧めません。でも、調べ抜いた上での「不動産+自分の店」は、治療家の選択肢に入ります。僕はそれで、借りる側のまま、貸す側にもなりました。

この記事のまとめ
  • 家賃は、他人に払えば消える。自分の資産に払えば、残る
  • 買うなら、自分が店をやりたい場所。相場の目安は、自分で持つ
  • いい物件は千に三つ。何百件を見て、50件に足を運んで、1件
  • 不動産投資は勧めない。調べ抜いた上での「不動産+自分の店」は、治療家の選択肢に入る

よくある質問

いくらで買ったのですか
この記事では書いていません。購入価格、諸費用、自己資金と借入の内訳、改装費、修繕の実績は、オンラインコミュニティの記事で全部出しています。
宅建は必要ですか
資格そのものは要りません。僕も持っていません。ただ、売る側の話を自分で判断できる知識は要ります。僕は受験するところまで勉強して、それが判断の土台になりました。
融資は使いましたか
この物件では、金融機関の融資は使っていません。開業時から貯めていた自己資金と、親戚からの借入です。事業の運転資金は借入で回し、利益は手元に残す、を開業時から続けていたことが効きました。
築古の建物は、やめたほうがいいですか
修繕費は必ずかかります。僕の場合も、ネズミ、水回り、換気扇、電気系統と、思っていたより出ました。それを見込んだ上で、価値が値段を上回るかどうかで判断してください。
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