個人請求と接骨師会、どっちがいい?コストで徹底比較【接骨院開業】

「開業するけど、保険(療養費)の請求は自分でやる?それとも接骨師会に入る?」——開業前の先生から、いちばん多くいただく質問のひとつです。結論を先に言うと、コスト重視・レセプト件数が多いなら個人請求、手間を省いてサポートが欲しいなら接骨師会。今日は現役オーナーの立場で、両者のコスト・手間・サポート・独立性を、包み隠さず比較します。

亜由美先生
亜由美先生周りの先生に聞くと「会に入るのが普通」と言われるんですが…。実際、そんなにコストって違うものなんですか?
篠原先生
篠原先生これが、けっこう違うんです。年間で数十万円変わることも。ただ「安い=正解」でもないので、何にお金を払うのかを分かった上で選ぶのが大事ですよ。
目次

そもそも「個人請求」と「接骨師会」って?

接骨院が保険で施術すると、患者さんの自己負担分を除いた療養費を、あとから保険者(国保・後期高齢・協会けんぽなど)へ請求します。この請求のやり方が、大きく2つに分かれます。

個人請求は、レセプト(療養費支給申請書)を自分で作成し、各保険者へ直接送って請求する方法。接骨師会(柔道整復師会などの団体)は、会に入会して請求業務を代行してもらう方法です。どちらも受け取れる療養費そのものは変わりません。違うのは「手間」と「コスト」、そして「サポートの厚さ」です。

個人請求 vs 接骨師会:ざっくり全体像
個人請求 接骨師会 コスト ◎ 安い △ 月2〜3万〜 手間 △ 自分で発送 ◎ ラク サポート △ 自力 ◎ 情報・相談 入金の早さ ◎ 約3ヶ月 △ 約5ヶ月 独立性 ◎ 自分次第 △ 会に依存
受け取れる療養費は同じ。違いは「コスト・手間・サポート・入金の早さ・独立性」の5点。

メリット・デメリットを整理する

まずはそれぞれの良い面・気になる面を、フラットに並べてみます。どちらが優れているというより、性格が違うと考えるのが正解です。

個人請求のメリット・デメリット

圧倒的に安い:かかるのは切手・封筒代くらい。会費や請求手数料が丸ごと不要で、利益がそのまま手元に残ります。
入金が早い:保険者から自分の口座へ直接振り込まれるため、団体経由より入金サイクルが早い傾向。
団体の倒産リスクがない:立替金を返せず破綻した会も過去に存在。自分で請求すれば、その心配とは無縁です。
発送の手間がある:レセプトの印刷・封入・投函を毎月自分で。とはいえ慣れれば短時間で終わります。

接骨師会のメリット・デメリット

発送がラク:レセプトを会に出せば、あとの請求業務はお任せ。事務の負担がぐっと減ります。
情報とサポート:制度改正や指導・監査の情報が届く。開業したての先生には心強い相談先になります。
立替などの付帯サービス:レセコン(請求ソフト)無料・賠償責任保険込み・療養費の立替など、会によって手厚い。
手数料が高め・入金が遅め:会費と手数料で月2〜3万円が相場。入金も個人請求より遅くなりがちで、細かい会内ルールがある場合も。

コスト比較:レセプト100枚だとどれくらい?

いちばん気になるお金の話を、具体的な数字で見てみましょう。レセプト100枚を1ヶ月に請求するケースで比べます。

個人請求は、切手・封筒代でおおよそ月4,000円ほど。発送作業も1時間、慣れれば30分程度で終わります。一方の接骨師会は、会費+請求手数料で月2〜3万円が相場。さらに入金までの期間も、個人請求が約3ヶ月なのに対し、団体経由は約5ヶ月と差が出やすいのが実情です。

年間コストのイメージ比較(請求100万円・立替6%利用の場合)
20万 40万 60万 80万 年12万円 個人請求 年84万円 接骨師会 差額 約72万円
立替サービスを使うと差はさらに拡大。会費・手数料だけでも月2〜3万円(年24〜36万円)の差が生まれる。

これだけ差が出るのは、団体がレセコン無料・賠償責任保険込み・立替サービスといった付帯サービスを含んでいるから。逆に言えば、これらが自分に必要かどうかが判断の分かれ目です。料金だけを見るなら、個人請求に軍配が上がります。

篠原先生
💡 篠原ワンポイント

「みんな入ってるから」で会を選ぶのは、いちばんもったいないパターン。付帯サービスを1つずつ書き出して、本当に使うものだけで会費のもとが取れるか計算してみてください。使わないなら、その分は丸ごとコストです。

立替サービスは「実質お金を借りている」

接骨師会の目玉のひとつが立替(前払い)サービス。療養費が入金される前に、会が先にお金を払ってくれる仕組みです。資金繰りがラクになる反面、本質は手数料を払って資金を前借りしていることに他なりません。

立替のコスト例

月100万円の請求で、当月立替の手数料が6%だとすると——
手数料は月6万円、年72万円。個人請求の年12万円と比べ、その差はまるまる資金調達コストです。

もし運転資金が不安で立替を頼りたいなら、その前に日本政策金融公庫や銀行の融資を検討するのが先決です。年6%相当の手数料を毎月払い続けるより、はるかに低い金利で資金を確保できるケースが多いからです。立替はあくまで「最後の手段」と考えましょう。労災など保険の種類ごとの扱いは 労災保険ガイド もあわせてどうぞ。

結局、どっちが向いている?

コストと手間、どちらを重く見るかで答えは変わります。まずは下の分岐で、あなたのタイプをざっくりつかんでみてください。

かんたん判定:あなたはどっち向き?
何を優先する? コスト or 手間・安心 コスト・件数 手間・サポート 個人請求 安い・入金早い 縛られず独立 接骨師会 発送がラク 情報・相談つき
まずはこの二択で方向づけ。細かい条件は下のチェックで確認しよう。
個人
個人請求が向いている人:とにかくコストを抑えたい/レセプト件数が多く手数料負担が重い/事務作業が苦にならない/団体に縛られず独立してやりたい。
接骨師会が向いている人:開業したてで請求業務に不安がある/事務にかける時間を治療に回したい/制度改正や指導・監査のサポートが欲しい/賠償保険などをまとめたい。
亜由美先生
亜由美先生私は一人開業で件数もこれから…。最初は会で安心を買って、慣れたら個人請求に切り替える、でもいいんですか?
篠原先生
篠原先生もちろんアリです。むしろ王道。最初はサポート重視で会、事務に慣れて件数が増えたら個人請求へ——コストの効き方が変わるタイミングで見直せばいいんです。

慣れてしまえば個人請求の手間は大したことがないので、私個人としては、ゆくゆくは個人請求をおすすめします。ただ「知った上で会を選ぶ」のは十分に良い判断。避けたいのは、比較せずなんとなく入会してしまうことだけです。会を選ぶなら、立替金の管理がしっかりした、信頼できる団体を選びましょう。

「立替(早期入金)サービスは得?」——手数料と入金スピードのバランス次第で、件数が多い院ほど手数料負担も増えます。また、あとから会と個人請求を切り替えることも可能です。まずは今の件数と手間で決め、規模が変わったら見直せばOKです。

よくある質問

個人請求は、開業していきなり自分でできますか?
できます。レセコン(請求ソフト)を用意し、記載ルールを押さえれば個人でも十分可能です。最初は不安なら、やり方をまとめた 準備編 から進めてみてください。
個人請求だと、受け取れる療養費は減りますか?
いいえ。受け取れる金額そのものは、個人請求でも会経由でも変わりません。違うのは手数料などのコストと、入金までの期間です。
接骨師会の会費・手数料は、だいたいいくらですか?
会費と請求手数料を合わせて月2〜3万円が相場です。立替サービスを使う場合は、これに立替手数料(例:請求額の数%)が上乗せされます。
入金スピードはどれくらい違いますか?
目安として個人請求は約3ヶ月、団体経由は約5ヶ月ほど。開業直後は資金繰りに響くので、事前に見込んでおくと安心です。
この記事のまとめ
  • 受け取れる療養費は同じ。違いは「コスト・手間・サポート・入金の早さ・独立性」
  • コスト重視・件数が多いなら個人請求、手間を省きサポートが欲しいなら接骨師会
  • 会費+手数料は月2〜3万円が相場。立替は「実質お金を借りている」と心得る
  • 運転資金が不安なら、立替より先に公庫・銀行の融資を検討する
  • 迷ったら会から始め、慣れて件数が増えたら個人請求に切り替えるのも王道
篠原先生
篠原先生大事なのは「何にお金を払っているか」を分かって選ぶこと。それさえできれば、個人請求でも会でも、あなたの正解になりますよ。
亜由美先生
亜由美先生すっきりしました!まずは付帯サービスを書き出して、自分に必要か計算してみます✍️

※会費・手数料・立替料率は団体により異なります。加入前に必ず最新の条件をご確認ください。
保険の種類ごとの扱いは 労災保険ガイド もどうぞ。

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