「開業するけど、保険(療養費)の請求は自分でやる?それとも接骨師会に入る?」——開業前の先生から、いちばん多くいただく質問のひとつです。結論を先に言うと、コスト重視・レセプト件数が多いなら個人請求、手間を省いてサポートが欲しいなら接骨師会。今日は現役オーナーの立場で、両者のコスト・手間・サポート・独立性を、包み隠さず比較します。
そもそも「個人請求」と「接骨師会」って?
接骨院が保険で施術すると、患者さんの自己負担分を除いた療養費を、あとから保険者(国保・後期高齢・協会けんぽなど)へ請求します。この請求のやり方が、大きく2つに分かれます。
個人請求は、レセプト(療養費支給申請書)を自分で作成し、各保険者へ直接送って請求する方法。接骨師会(柔道整復師会などの団体)は、会に入会して請求業務を代行してもらう方法です。どちらも受け取れる療養費そのものは変わりません。違うのは「手間」と「コスト」、そして「サポートの厚さ」です。
メリット・デメリットを整理する
まずはそれぞれの良い面・気になる面を、フラットに並べてみます。どちらが優れているというより、性格が違うと考えるのが正解です。
個人請求のメリット・デメリット
接骨師会のメリット・デメリット
コスト比較:レセプト100枚だとどれくらい?
いちばん気になるお金の話を、具体的な数字で見てみましょう。レセプト100枚を1ヶ月に請求するケースで比べます。
個人請求は、切手・封筒代でおおよそ月4,000円ほど。発送作業も1時間、慣れれば30分程度で終わります。一方の接骨師会は、会費+請求手数料で月2〜3万円が相場。さらに入金までの期間も、個人請求が約3ヶ月なのに対し、団体経由は約5ヶ月と差が出やすいのが実情です。
これだけ差が出るのは、団体がレセコン無料・賠償責任保険込み・立替サービスといった付帯サービスを含んでいるから。逆に言えば、これらが自分に必要かどうかが判断の分かれ目です。料金だけを見るなら、個人請求に軍配が上がります。
「みんな入ってるから」で会を選ぶのは、いちばんもったいないパターン。付帯サービスを1つずつ書き出して、本当に使うものだけで会費のもとが取れるか計算してみてください。使わないなら、その分は丸ごとコストです。
立替サービスは「実質お金を借りている」
接骨師会の目玉のひとつが立替(前払い)サービス。療養費が入金される前に、会が先にお金を払ってくれる仕組みです。資金繰りがラクになる反面、本質は手数料を払って資金を前借りしていることに他なりません。
月100万円の請求で、当月立替の手数料が6%だとすると——
手数料は月6万円、年72万円。個人請求の年12万円と比べ、その差はまるまる資金調達コストです。
もし運転資金が不安で立替を頼りたいなら、その前に日本政策金融公庫や銀行の融資を検討するのが先決です。年6%相当の手数料を毎月払い続けるより、はるかに低い金利で資金を確保できるケースが多いからです。立替はあくまで「最後の手段」と考えましょう。労災など保険の種類ごとの扱いは 労災保険ガイド もあわせてどうぞ。
結局、どっちが向いている?
コストと手間、どちらを重く見るかで答えは変わります。まずは下の分岐で、あなたのタイプをざっくりつかんでみてください。
慣れてしまえば個人請求の手間は大したことがないので、私個人としては、ゆくゆくは個人請求をおすすめします。ただ「知った上で会を選ぶ」のは十分に良い判断。避けたいのは、比較せずなんとなく入会してしまうことだけです。会を選ぶなら、立替金の管理がしっかりした、信頼できる団体を選びましょう。
「立替(早期入金)サービスは得?」——手数料と入金スピードのバランス次第で、件数が多い院ほど手数料負担も増えます。また、あとから会と個人請求を切り替えることも可能です。まずは今の件数と手間で決め、規模が変わったら見直せばOKです。
よくある質問
- 受け取れる療養費は同じ。違いは「コスト・手間・サポート・入金の早さ・独立性」
- コスト重視・件数が多いなら個人請求、手間を省きサポートが欲しいなら接骨師会
- 会費+手数料は月2〜3万円が相場。立替は「実質お金を借りている」と心得る
- 運転資金が不安なら、立替より先に公庫・銀行の融資を検討する
- 迷ったら会から始め、慣れて件数が増えたら個人請求に切り替えるのも王道
※会費・手数料・立替料率は団体により異なります。加入前に必ず最新の条件をご確認ください。
保険の種類ごとの扱いは 労災保険ガイド もどうぞ。
