資格を取った治療家には、大きく3つの働き方があります——会社勤め・独立開業・フリーランス。私自身、どれも経験してきました。この記事ではまず、いちばん多くの人が選ぶ「会社勤め(雇われ)」のメリット・デメリットを、整骨鍼灸3院+エステを経営する現役オーナーの立場から正直に解説します。
治療家の働き方は大きく3つ
「治療家=いつか独立するもの」というイメージがあるかもしれません。でも実際には、働き方は一つではありません。今いる場所がどこなのかが分かると、進む方向も見えてきます。
今回はこの中の「会社勤め」を深掘りします。独立が気になる人も、まず“今いる場所の価値”を正しく知ることが、後悔しない選択につながります。
会社勤め(雇われ)の4つのメリット
① 毎月、決まった収入が入る
感染症が広がっても、天候が悪くて来院が減っても、基本的に給料日はやってきます。独立すると「自分の給与がゼロの月」もあり得ますが、勤めていれば定期的に必ず収入がある。この安心感は、金銭面だけでなく精神面でも大きな支えになり、目の前の患者さんにも落ち着いて向き合えます。
② 社会保険が手厚い
給与から健康保険・年金・税金が引かれて「こんなに引かれるの?」と感じますよね。でもこの健康保険と年金は、会社が半額を負担し、面倒な納付手続きまで代行してくれています。独立すると全額自己負担・手続きも自分で。実は、かなりありがたい仕組みなのです。
③ 研修・教育で学び続けられる
国家資格の取得には3年・300〜500万円。しかも卒業がゴールではなく、技術は一生学び続けるものです。会社は勉強会や外部研修を、ときに社長が費用を持ち勤務扱いで用意してくれます。お金をもらいながら技術を磨けるのは、雇われの大きな特権です。
④ 集客・経営をしなくていい
見落とされがちですが、これが最大の魅力かもしれません。独立すると、施術以外に集客・広告・お金の管理・採用と、やることが一気に増えます。会社勤めなら、そのほとんどを会社が引き受けてくれる。「施術に集中できる」環境は、技術を伸ばしたい人には何より貴重です。
会社勤めの4つのデメリット
① 収入に上限がある
安定の裏返しで、収入には天井があります。経営者はリスクを取る分、うまくいけば収入が大きく伸びます。よく「自分の給与の2〜3倍を稼いで、やっと会社の利益」と言われます。つまり、それ以上を安定して稼げる実力がつくと、独立した方が手取りは増える計算に。このラインが、勤め続けるか独立かの一つの分かれ目です。
② 役割も上司も選べない
組織で働く以上、役割や役職が発生します。施術に専念したいのに苦手なマネジメントを任される、業績の都合で他院へ異動になる——など、自分の意志と関係なく役割が変わることがあります。さらに、考え方の合わない上司でも相性だけでは異動できません。「悩みの多くは対人関係」とも言われる通り、ここは雇われの宿命です。
③ 独立のノウハウは身につきにくい
会社が集客も経営もやってくれる——これはメリットであると同時に、いざ独立したいときの弱点にもなります。数字の見方、広告の出し方、資金繰り、採用。経営の実務は、施術の腕とは別のスキルです。施術だけを続けていると、独立に必要な力が育ちにくいのです。
④ 税金・社会保険を調整できない
サラリーマン最大のデメリットとも言われます。給与所得は経費にできる範囲が狭く、同じ年収でも、事業所得の独立・フリーランスに比べて手取りが不利になりがちです。たとえば年30万円のセミナー代を経費にできるかで、税金に約9万円の差が出ることも。確定申告が不要な手軽さの裏返しで、節税をコントロールできません。
会社勤めが向いている人・独立を考えたい人
ここまでのメリット・デメリットをふまえて、タイプ別に整理してみます。当てはまる項目が多い方が、今のあなたに合った働き方だと考えてください。
独立に向いていそうな人も、いきなり辞める必要はありません。勤めている間に経営・集客・数字を意識して学ぶと、独立後の失敗がぐっと減ります。安定した給料をもらいながら準備できるのも、雇われの特権です。
「不満だから独立」の前に考えたいこと
会社にいると独立がうらやましく、独立すると会社勤めがうらやましく見えるもの。大事なのは、どちらが優れているかではなく、それぞれに長所と短所があるだけだということです。「今の会社に不満があるから独立」と考える前に、一度立ち止まってみてください。
その不満は、転職では解決しないものでしょうか。上司との相性や役割への不満なら、別の職場で解消できるかもしれません。また、今の会社を辞めると「安定・保障・研修・施術への集中」を同時に失います。それでも独立で得たいものが上回るのか——感情ではなく、両面を並べて冷静に判断しましょう。
「会社勤めは安定しているけど損なのでは?」と感じる人もいますが、そうとは限りません。社会保険や研修など、雇われならではの手厚さは、独立するとすべて自分持ちになります。損得ではなく、”今の自分に合う働き方か”で考えるのが正解です。
よくある質問
- 治療家の働き方は「会社勤め・独立開業・フリーランス」の3つ。優劣はない
- 会社勤めのメリットは、安定収入・手厚い社会保険・研修・施術への集中
- デメリットは、収入の上限・役割や上司を選べない自由度の低さ・節税の難しさ
- 「不満だから独立」の前に、転職で解決しないか・何を失うかを冷静に見よう
もう一つの働き方 治療家の「フリーランス」という働き方 もあわせてどうぞ。3つを見比べると、自分に合う道が見えてきます。
