治療家の働き方「フリーランス」のメリット・デメリット【20年の経験から解説】

開業するほどの資金や覚悟はまだない。でも、会社に雇われたままでは物足りない——。そんな治療家が選ぶ第三の道が、「フリーランス」です。業務委託や面貸しで働くこのスタイルは、開業より低リスクで、独立に近い自由が手に入るのが魅力。20年この業界を見てきた立場から、良い面も厳しい面も、包み隠さずお伝えします。

亜由美先生
亜由美先生最近「フリーでやってます」という治療家さん、増えましたよね。あれって独立とは違うんですか?
篠原先生
篠原先生いい質問です。ざっくり言うと、会社勤めと独立開業の”ちょうど真ん中”。自由さと身軽さのバランスが取れた働き方なんですよ。
目次

フリーランスとは?会社勤めと独立の「中間」

治療家のフリーランスとは、どこかの整骨院や整体院と雇用契約ではなく「業務委託契約」を結び、施術の成果に応じて報酬を受け取る働き方です。院のスペースを間借りして自分の患者を診る「面貸し(レンタルサロン)」もこの一種。自分の店舗を構える独立開業とは違い、テナントを借りたり内装に大金を投じたりする必要がありません。

会社員のように毎月決まった給料が振り込まれるわけではなく、働いた分だけ歩合で収入になります。とはいえ設備を院側に頼れるぶん、初期投資はほぼゼロで「ほぼ独立」に近い自由が得られる。この身軽さこそが最大の特徴です。まずは3つの働き方を地図にして、全体像をつかみましょう。

治療家の3つの働き方マップ
安定・低リスク 自由・高リスク 会社勤め 雇用・固定給 フリーランス 業務委託・面貸し ◀ 中間の選択肢 ▶ 独立開業 自分の店舗
フリーランスは、会社勤めの安定と独立開業の自由の”いいとこ取り”を狙えるポジション。

フリーランスが選ばれる4つのメリット

なぜ多くの治療家がフリーランスを選ぶのか。理由を整理すると、大きく次の4つに集約されます。

① 収入が実力に直結
固定給ではなく歩合制。指名や売上が伸びれば、その分そのまま報酬に反映される。頑張りが数字になる。
② 時間の自由がきく
出勤日や勤務時間を自分で調整しやすい。子育て・W ワーク・体調に合わせた働き方が組める。
③ 経費が使える
勉強会・書籍・道具・移動費などを事業経費に計上でき、課税所得を抑えられる。実質手取りが増える。
④ 施術方針を貫ける
会社の方針に縛られず、自分の信じる施術スタイルで患者と向き合える。技術者としての満足度が高い。

とりわけ大きいのが①の「収入が実力に直結する」点です。会社勤めは、どれだけ売上を上げても給料は基本一定。一方フリーは、契約にもよりますが売上の4〜6割前後が報酬になるケースが多く、腕に自信がある人ほど手取りが跳ね上がります。指名で予約が埋まる人気施術者なら、勤務時代の1.5〜2倍を稼ぐことも珍しくありません。

③の経費も見逃せません。会社員の給料からは自由に経費を引けませんが、フリーは事業に必要な出費を売上から差し引ける。同じ額を稼いでも、税や社会保険料の計算対象となる所得を下げられるぶん、手元に残るお金が変わってきます。

篠原先生
💡 篠原ワンポイント

「独立はまだ怖いけど、雇われのままは嫌」という人に、フリーランスはちょうどいい”練習台”になります。院の看板や集客力を借りながら、個人事業主としてのお金の管理・確定申告を経験できる。ここで力をつけてから開業する人は、失敗が本当に少ないんです。

見落とせない3つのデメリット

自由の裏には、必ず責任がついてきます。会社が守ってくれていた部分を、すべて自分で背負う。ここを甘く見ると痛い目にあうので、しっかり押さえておきましょう。

1
収入が不安定になる:会社員は売上が落ちても給料が出ますが、フリーランスは患者が来なければ収入ゼロ。ケガや繁閑の波が、そのまま生活に響きます。
2
保障が薄い:雇用保険・労災に原則入れず、有給もありません。病気やケガで働けない期間は完全な無収入。セーフティネットは自分で用意する必要があります。
3
集客も事務も自分でやる:確定申告・帳簿つけ・国民健康保険や年金の手続き、さらに集客まで。本業以外の”雑務”が一気に増えます。

特に多くの人がつまずくのが、②の「保障の薄さ」です。会社員なら傷病手当金や労災でカバーされる場面も、フリーには基本ありません。治療家は身体が資本の仕事。腰や手を痛めて施術できなくなれば、収入が止まります。だからこそ、就業不能に備える保険や、生活費半年〜1年分の貯えは「必須の装備」と考えてください。

③の事務負担も想像以上です。売上管理・経費の記録・確定申告は、会社員時代なら経理がやってくれていた仕事。慣れないうちは施術以外の時間を大きく奪われます。だからこそ、独立する治療家は早めに記帳や確定申告のサポートを検討しておくと、本業に集中できて安心です。

亜由美先生
亜由美先生自由なぶん、守りは全部自分でやらなきゃいけないんですね…。ちょっと気が引き締まります。
篠原先生
篠原先生そう。でも仕組みさえ整えれば怖くありません。特に”お金の流れ”を理解しておくのが第一歩ですよ。

フリーランスの「手取り」はどう決まる?

「歩合だから会社員より稼げる」と聞くと、額面がまるごと自分のものになる気がします。でも実際は、そこから経費や税・社会保険料が引かれます。額面と手取りは別物。この流れの理解が、フリーで生き残る鍵です。

額面 → 手取りの流れ(イメージ)
① 売上(額面) 100万円 ② 経費を引く 残り70万 経費30万 ③ 税金・社会保険を引く 手取り 約48万 税・保険22万 (経費分)
※ 数字はあくまで一例。経費や所得で税額は変わります。「額面=手取り」ではない点がポイント。

ポイントは2つ。1つは経費をきちんと計上すること。事業に必要な支出を漏れなく経費にすれば、課税所得が下がり、税金・社会保険料も軽くなります。もう1つは払うべきものを見越して残すこと。国保・年金・所得税・住民税は、あとからまとめて請求が来ます。手取りを全部使うと、納税の時期に資金が足りず慌てがちです。

売上が入ったら「全部が自分のお金」と思わないこと。ざっくり売上の2〜3割を税金・保険用によけておくと、あとで泣かずに済みます。

フリーランスが向く人・向かない人

同じ働き方でも、性格や状況によって”合う・合わない”がはっきり分かれます。下の比較を、自分に当てはめて考えてみてください。

◎ 向いている人
・指名が取れる技術と自信がある
・時間や働き方を自分で決めたい
・お金の管理をコツコツできる
・いずれ独立を考えている
△ 慎重に考えたい人
・毎月安定した収入がほしい
・事務や数字の管理が苦手
・体調に不安があり保障を重視
・集客を人に任せたいタイプ

「安定した固定収入」や「手厚い保障」を最優先するなら、無理にフリーになる必要はありません。まずは会社勤めで技術と資金を蓄えるのが堅実です。逆に「自分の裁量で稼ぎたい」「いずれ独立開業したい」人にとって、フリーはリスクを抑えつつ独立の予行演習ができる絶好のステップになります。

「業務委託と面貸しは何が違う?」——ざっくり、業務委託は院に所属して歩合で働く形、面貸しは場所だけ借りて自分で集客する形です。未経験からいきなりフリーになるのは難しく、まずは勤務や業務委託で技術と顧客をつけてから、が現実的です。

よくある質問

歩合の相場はどのくらいですか?
契約によりますが、売上の4〜6割前後が目安。集客や設備を院に頼るほど自分の取り分は下がり、面貸しのように自前でやるほど取り分は上がる、という関係になります。
フリーランスでも確定申告は必要ですか?
はい。個人事業主として、原則毎年の確定申告が必要です。青色申告にすると控除が受けられて有利。帳簿づけが不安なら、早めに記帳サポートを使うのがおすすめです。
社会保険はどうなりますか?
会社の社会保険から外れ、国民健康保険・国民年金に自分で加入・納付します。保障は会社員より薄くなるため、就業不能保険などで補う人が多いです。
開業とどちらが得ですか?
一概には言えません。初期リスクを抑えたいならフリー、収益の上限を伸ばしたいなら開業。フリーで力をつけてから開業へ、という段階的な進み方が現実的で堅実です。
この記事のまとめ
  • フリーランスは、会社勤めと独立開業の”中間”にある働き方(業務委託・面貸し)
  • メリットは、低リスクで独立に近い自由・歩合で収入UP・経費が使えること
  • デメリットは、収入が不安定・保障が薄い・確定申告や集客を自分でやること
  • 「額面=手取り」ではない。税・保険用に売上の2〜3割はよけておく
  • まず勤務で技術と資金を蓄え、フリーで独立の練習をするのが堅実な道
篠原先生
篠原先生フリーランスは”半歩だけ独立する”働き方。自由と責任はセットですが、正しく備えれば治療家にとって強力な選択肢になりますよ。
亜由美先生
亜由美先生中間の選択肢、すごく現実的ですね。まずはお金まわりの準備から始めてみます!

※契約条件・報酬体系は院により異なります。契約前に必ず内容を確認しましょう。
確定申告や記帳の不安は 記帳・確定申告サポート もご検討ください。

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