接骨院が扱える労災は2つだけ|「通勤労災」と「業務労災」の様式と注意点

「労災の患者さんが来たけど、どの用紙を使えばいいんだっけ…?」。接骨院で労災を扱う機会は多くないぶん、いざという時に書類で手が止まりがちです。でも大丈夫。柔道整復師が扱える労災は、実は「通勤労災」と「業務労災」の2つだけ。使う様式もそれぞれ1種類ずつと決まっています。今日はこの2つの見分け方から、請求の流れ、つまずきやすい注意点まで、まるごと整理しておきましょう。

亜由美先生
亜由美先生労災の患者さんって年に数えるほどで…。いざ来ると、用紙も流れもうろ覚えで焦っちゃうんです。
篠原先生
篠原先生そこは”2つだけ”と覚えれば怖くありません。通勤か、仕事中か。この見極めさえできれば、あとは様式が自動で決まりますよ。
目次

接骨院で扱える労災は、原則2種類だけ

柔道整復師は、保健所への開設届を出していれば労災(労働者災害補償保険)による外傷の治療を行えます。さらに管理柔整師が労働局へ届け出をすませておけば、労災に該当する負傷は患者さんの窓口負担0円で施術できます。治療費は国(労災保険)から支払われるため、患者さんにとっては安心して通える大きなメリットです。

ただし、扱えるのは「労働に関わる原因でのケガ」に限られます。プライベートでの負傷は健康保険や自費の対象で、労災にはなりません。柔整師が受け持てる労災は、原因によって次の2種類にきれいに分かれます。

接骨院が扱える労災は「通勤」か「業務」の2つ
通勤労災 通勤の行き帰りの負傷 例:通勤中に転倒・ 駅の階段で捻挫 使う様式 様式第16号の5(3) 業務労災 仕事中の負傷 例:作業中に腰を痛める・ 荷物運びで負傷 使う様式 様式第7号(3)
通勤中なら「通勤労災」、仕事中なら「業務労災」。原因で様式が1つに決まる。

「通勤労災」と「業務労災」の見分け方

柔整師が扱う労災は、そのケガが「通勤中の負傷」か「業務中の負傷」かで使う様式が決まります。ここを取り違えなければ、請求はぐっとスムーズになります。

通勤
通勤労災(通勤中の負傷)→ 様式第16号の5(3):自宅と職場の合理的な経路を移動中に負ったケガが対象です。途中で私的な寄り道をすると外れることもあるため、経路の確認がポイントになります。
業務
業務労災(業務中の負傷)→ 様式第7号(3):仕事に従事している最中に負ったケガが対象です。作業中の転倒や、重い物を持ったときの負傷などが典型例にあたります。

用紙は、厚生労働省の「労災保険給付関係請求書等ダウンロード」のサイトから入手できます。ここでよくあるのが、患者さんが医科用の用紙や、柔整師用ではない様式を持参してくるケース。医療機関を先に受診してから接骨院に来た患者さんに起こりがちです。患者さんが用紙を持ってきたら、必ずどの様式か確認してください。番号が違うと、あとで差し戻しになってしまいます。

篠原先生
💡 覚え方はシンプルに

通勤は16号の5(3)、業務は7号(3)」。この2つだけ、受付の見えるところにメモしておくと安心です。迷ったら”通勤中か、仕事中か”を患者さんに一言たずねる。それだけで様式は決まります。

労災請求の流れ|受付から提出まで

実際の流れも、押さえてしまえば単純です。初診時に「労災かどうか」を確認し、原因に合った様式を選び、記入して監督署へ提出する。この3ステップが基本形です。

初診で労災か確認
16-5 通勤 7号 業務
様式を選んで記入
監督署
監督署へ提出

提出先は、原則として患者さんの勤務先を管轄する労働基準監督署です。用紙には事業主(勤務先)による証明欄があり、ここに会社の記入・押印が必要になります。事業主証明がないと受理されないため、患者さんには早めに勤務先へ依頼してもらうよう伝えておくと安心です。

労災が「決まる」のは、監督署が受理したとき

意外と誤解されやすいのが、労災と認定されるタイミングです。会社が「これは労災だ」と認めた時でも、接骨院で治療を始めた時でもありません。正式に決まるのは、労働基準監督署が請求書を受理したタイミングです。会社が労災と判断しても監督署で受理されないこともあれば、その逆もあり得ます。

ここで気をつけたいのが、請求書の提出のしかた。1枚の様式で数ヶ月分をまとめて請求することも制度上は可能ですが、まとめて出すと監督署が状況を把握できていないという事態になりがちです。そのため、労災が発生した初月は、必ず1ヶ月分だけで提出するのが無難。まず1ヶ月分を出して受理を確認し、その後は月ごとに請求していく流れが安全です。

亜由美先生
亜由美先生なるほど…!「会社が認めた=OK」だと思い込んでいました。受理されて初めて確定なんですね。
篠原先生
篠原先生そうなんです。だから初月は1ヶ月分。まず受理をしっかり確認してから、次に進むのが鉄則ですよ。

つまずきやすい注意点チェック

最後に、実務でひっかかりやすいポイントを整理しておきます。ここを押さえておけば、いざ労災の患者さんが来ても落ち着いて対応できます。

1
初診時に「労災かどうか」を必ず確認:ケガの原因が通勤か仕事かを最初に聞き取る。健康保険と労災を取り違えると、あとの手続きがすべてやり直しになります。
2
持参された用紙の様式番号をチェック:医科用や他様式を持ってくるケースは珍しくありません。柔整師が使うのは16号の5(3)か7号(3)の2つだけ、と覚えておく。
3
事業主証明を忘れずに:勤務先の証明・押印がないと受理されません。休業証明書などの追加書類を求められることもあります。
4
2種類以外の用紙は監督署に確認:用紙の最終判断は請求先の監督署・担当者によって変わります。想定外の様式を持参されたら、自己判断せず一度問い合わせを。
用紙の取り扱いや必要書類は、請求先の労働基準監督署や担当者によって細かな運用が異なることがあります。判断に迷ったら「あとで直せばいい」と進めず、その場で監督署に確認するのが結局いちばんの近道です。

実務でよく迷うのが用紙まわりです。労災の様式は原則、月ごとに作成・請求します(数ヶ月分をまとめて1枚に、はできません)。また患者さんが医科用の用紙を持ってきても、柔整用とは書式が異なるため、そのままは使えません。迷ったら管轄の労働基準監督署に確認を。

よくある質問

接骨院で労災の患者さんを診るには、事前に何が必要ですか?
保健所への開設届に加え、管理柔整師が労働局へ届け出をしておくと、労災の負傷を患者さんの窓口負担0円で施術できます。労災を受けるつもりなら、開業の段階でこの届け出まで済ませておくと安心です。
通勤労災と業務労災、様式番号をもう一度教えてください。
通勤中の負傷が「様式第16号の5(3)」、仕事中の負傷が「様式第7号(3)」です。柔整師が扱うのはこの2種類だけ。原因を確認すれば、使う様式は自動的に1つに決まります。
患者さんの窓口負担はいくらになりますか?
労災として認められれば、原則として窓口負担は0円です。治療費は労災保険から支払われます。健康保険のような3割負担は発生しません。
用紙の判断に迷ったときは、どこに聞けばいいですか?
請求先を管轄する労働基準監督署です。用紙の取り扱いは監督署や担当者によって運用が異なることがあります。想定外の用紙を持参されたときは、自己判断せず一度確認するのが確実です。
この記事のまとめ
  • 接骨院・柔整師が扱える労災は「通勤労災」と「業務労災」の2つだけ
  • 通勤中の負傷=様式第16号の5(3)/仕事中の負傷=様式第7号(3)
  • 労災が確定するのは、労働基準監督署が請求書を受理したとき
  • 発生初月は1ヶ月分で提出。事業主証明を忘れず、迷ったら監督署へ確認
篠原先生
篠原先生治療が本分とはいえ、書類に早めに動けば患者さんの不安も減ります。安心して治療に専念してもらえますよ。
亜由美先生
亜由美先生「2つだけ」と覚えたら、急に怖くなくなりました。さっそく受付にメモ貼っておきます!

※様式番号や必要書類は法改正・監督署の運用で変わることがあります。最新の様式は厚生労働省のダウンロードページでご確認ください。
開業まわりの手続きは 接骨院を開業するときの届け出まとめ もどうぞ。

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