独立開業?会社勤め?フリーランス?治療家の働き方のメリットデメリットといったテーマで記載していきます。この記事では会社勤め、いわゆるサラリーマンについてのメリットデメリットです。
資格を取って働き始めて色々な働き方があります。
これらの働き方について、それぞれ私自身が経験してきましたので、それぞれの良い点、悪い点について記載していきます。
この記事では、このままの働き方でいいか迷っている治療家、これからどのような働き方をしようか迷っている学生の参考になるかと思います。
会社勤めのメリット
10数年前までは、丁稚奉公的な働き方もや個人事業主で開業している接骨院が多く、社会保障が少ないところが多くありました。それらは、競合他社が少なく独立を念頭に置くことがあったため、終身雇用ではなく短い期間だったため可能だった仕組みだと思います。
最近では大手のグループ院が多くできたおかげで、サラリーマンとしての働き方が可能になってきています。
それらの会社でのメリットを記載していきます。
メリット
・社会保障が充実している
・毎月決まった額の給与が入ってくる
・労働基準法に守られている
・教育制度など会社で用意をしてくれている
順番に見ていきましょう。
社会保障が充実している
社会人になると給与を貰えます。嬉しい反面そんなに引かれるの?!と最初思うくらい税金や健康保険料、年金が給与から引かれています。
しかし、これで会社に不満を持つのは間違いで、これは国や自治体に支払っているのであって、むしろ会社はそれらを手伝ってくれています。
会社は国や市区町村の代わりに税金の支払いをやってくれているばかりか、健康保険や年金の半額を負担してくれています。
税金や社会保険料は行政が決めるもので、会社はむしろそれの徴収の手伝いを国に対して無償でやっている立場です。
メチャクチャありがたいことで、本来会社に所属しない方は、確定申告を行い、自分で申告をし、その金額を自分で納付しなくてはなりません。さらに、年金や健康保険料は会社が半分支払ってくれているので、会社に属さず自分で払うときは自己負担はもっと多くなります。
『こんなに働いたのにメチャクチャ会社にひかれている』
と最初は感じてしまうことがあるかもしれませんが、それらの手取りが減る分は全て国や自治体の為のものです。
こちらを支払ってもらっていることに関して会社に感謝をしなくてはいけません。
毎月決まった額の給与が入ってくる
会社員になっていると当たり前のようにやってくるのが『給料日』です。
感染症が広がっても、売り上げが下がっても、基本的には変わらず給与が貰えます。
会社にいると当然のようですが、開業しているとそうはいきません。独立をすると会社員で貰っていた時の給与を大きく超える時もありますが、自分の給与が無い時もあります。
定期的に必ずお金が入ってくるというのは金銭的にもそうですし、精神的にも大きなメリットだと思います。
労働基準法に守られている
労働者の立場になると、法律で守られます。
勤務時間は決まっていますし、残業が発生すれば残業代が生じます。半年以上勤務してれば働いていない日もお給料がもらえる有給休暇も取得出来ます。
情報がこれほど公開されていなかった時代では、師匠の下について、朝から晩まで働き、給与も微々たるものという時代がありましたが、今は法人化している企業が多く、当たり前ですが労働基準法に準じています。
勉強の時間と労働の時間が分かれて考えづらい業態ではありますが、労働はきちんと労働として行い、勉強は自分で時間を考えて自由に行えるようになってきています。
教育制度等会社で用意してくれている
通常学ぶためにはお金と時間がかかります。治療に関する国家資格を取得するのに時間にして3年、金額は300万円~500万円程かかります。
そして、卒業した後は自分で情報を取りに行き、学び続けるなくてはいけません。会社に属しているとそういった勉強会や研修会を多く開催してくれています。これらは会社側はお金もかかる上、時間も使います。最近では業務時間内に行ってくれるところも多いですが、休日などを利用して社長や取締役は無給、費用は会社持ちで休日に開催してくれるところもあります。
もちろん、これらは時間外であれば強制ではないですが、昇給や技術アップには欠かせません。
もちろん、自分でセミナーを探して自分のお金で参加できる人はいいですが、こういった勉強会に参加しない、出来ない人は基本的には
『自身での開業はおススメ出来ません』
開業をすると自分でこういった勉強をしなくてはいけませんし、業務時間外に技術の勉強、経営の勉強をするのは当たり前です。
技術や知識は自分自身の財産になります。会社都合で無理やり参加させるような勉強会は良くないですが、通常会社が作ってくれている勉強会はメリットしかありません。是非積極的に参加しましょう。
会社勤めのデメリット
デメリット
・給与の上限がある
・会社の都合で役割が変わることがある
・基本的には上司は選べない
・税金や社会保険料のコントロールが出来ない
・
給与の上限がある
給与に上限があります。これはメリットと表裏一体ですが、経営者はリスクをとっている分、うまくいっているときは収入が大幅に上がります。一方上手くいっていないときは大幅に減少します。また、色々な制度で守られているということは、それだけ会社全体で負担している部分があります。
よく働き始めは「これだけ多く売上が上がればもっと給与を貰っていいはずだ!!」と思ってしまうことがありますが、
会社は、地代家賃や人件費だけでなく、広告費、web制作費、税理士費用など目に見えないお金をかなり払っています。
会社が大きくなるにつれてスケールメリットが多くなりますが、これらの経費はかなりの金額になります。
よく、『給与の2倍~3倍稼いでやっと会社にとって利益が出る』と言われますが、別記事でも記載しますが、その通りです。
しかし、それ以上稼げるようになってくれば、独立開業したほうが給与は上がります。このラインを考えて企業に勤めたほうがいいか、自分でやったほうがいいかが決まってきます。
会社の都合で役割が変わることがある
会社は組織です。組織運営する以上、役割が発生してきます。
売上やお金を管理する責任者。新人が入ってきたときに現場教育する人。入退社について相談を受ける人。
院長やマネージャー等肩書は色々ありますが、長年勤めているとある程度の役割、役職を求められてきます。それらは、組織が成長する上で必要で、給与にも関わってきます。
例えば、院の責任者になると売上や数字の管理、それに付随して、どれだけ新患を増やすかなど、施術以外に使う時間が増えてきます。
本当は施術に専念したかったのに、苦手なマネジメントをしなくてはいけない、という治療家の話をよく聞きます。完全にマネジメントをやるか現場に入ったまま出来るかなど、自分では選べないことがあります。
他にも、例えば業績が悪く、院数を減らさなくてはならない場合に陥ったとき、他の院に配属された時にはもともと院長だったとしても、一つの院に院長は2人いりません。降格・減給されてしまうこともあります。
業績不振などは自分の責任であれば納得せざるを得ないこともありますが、会社の方針上で決定することもあります。
そういった場合、自分の意志とは関わらず役職が変わってしまうことがあります。もちろん、降格は給与にも関わってきますし、自分より経験が浅く若い人の部下にならないといけない場合もあります。
新入社員の頃はそこまで気にする必要がないかもしれませんが、会社に合わせた役割を担わないといけないというのはストレスを感じることがある一つです。
基本的には上司を選べない
アドラー心理学をわかりやすく書いてある『嫌われる勇気』では、
「すべての悩みは対人関係の悩みである」
と書かれています。人との関係が悩みの種になることは多く、実際に職場での不満は人間関係であることが多いです。
上司に限らず、自分の考えに合わない人はたくさんいます。それらは相手が悪い訳でも、ましては自分が悪いわけでもないですが、考え方の方向性が違うことが多くの原因です。
お互いの為を想って行った行動であったとしても、相手の考え方によっては、理不尽に思うこともあります。
大なり小なりあると思いますが、日々付き合わなくてはいけない人間で、自分より立場が上の上司はそういった意味では、考え方が合う合わないで仕事の満足度が変わってしまいます。
なかなか自分と上司の相性だけで異動をしたりすることは出来ないので、自分に合う上司だった場合は問題ないですが、自分と違う考えの上司だとストレスに感じることが多くあると思います。
会社では通常会社での共通言語として『社訓』やそれに付随した規則を作成してそういったことがなるべく無いようにしていきますが、細かいところまではルール化出来ないの現実だと思います。
税金や社会保険料のコントロールが出来ない
サラリーマンの最大のデメリットは税金や社会保険料のコントロールが出来ないことだと思います。
後述するフリーランスや独立開業では、『給与所得』ではなく、『事業所得』であるため、経費の幅が大きいです。
例えば、年間30万円のセミナーを受けたとします。
30万円分が事業に関わるセミナーであれば経費となりますので、
課税所得が30万円減ることになります。
この場合で例えば所得税率20%、住民税率10%だった場合
給与所得で経費と出来ない場合と事業所得で経費に出来る場合では、税金に
9万円程の差が出ます。
これは一つの例ですが、年間で色々な経費を考えると軽く数十万円は手取りが変わってきます。
同じ年収でも手取り額はサラリーマンの方が不利になります。
また、社会保険料も不利な面があります。
社会保険料も給与が上がるにつれて増えていきます。その社会保険料は『給与所得』によって決まります。
こちらは、フリーランスのメリットで記載しますが、『事業所得』×『給与所得』どちらも貰う形態にすると給与所得にのみ社会保険料の数字が計算されるため、こちらも事業所得と給与所得を貰っている場合だと、年間で数十万程手取りが変わってきます。
確定申告を自分でしないというのは楽ではありますが、逆に言うと税金のコントロールが全く出来ません。
ルールを知り、適切な節税等をすることは手元にお金を残すためには必要ですが、サラリーマンだとこのことが出来ません。
会社勤めのメリットデメリットまとめ
会社勤めのメリットデメリットについて記載しました。
会社にいるときは、独立開業がうらやましく思ったり、逆にフリーランスや独立開業をしていると会社勤めに戻りたいと思う人もいます。どちらの方が優れているというわけではなく、どちらにも長所と短所があると思います。
開業や独立の理由としてよく、例えば降格させられたり、自分が思った施術を行わせてもらえなかったり、今の会社に不満があるからやめて自分でやろうとしようとする方がいます。早いうちから独立を考えていた場合であればいいのですが、もしかしたら転職をして違う会社に勤めることで解決するかもしれません。
独立開業もお勧めですし、サラリーマンもいい働き方と思いますが、働き方を変えるときは今どんなメリットがあるか、今辞めるとどんなデメリットがあるか考えてみると働き方を変えた時に不満が少ないかもしれません。
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