給料の「手取り」の話|額面と手取りはなぜ違う?税金と社会保険の超入門

給与明細を見て、「額面30万円のはずなのに、振り込まれたのは24万円ちょっと…」と思ったことはありませんか?その差、実に月6万円。1年で70万円以上にもなります。この差の正体を知らない人が本当に多い。今日は「額面」と「手取り」がなぜ違うのかをゼロから解説し、さらに――その”引かれる額”は、働き方しだいで大きくコントロールできるという、あまり語られない話までお伝えします。

亜由美先生
亜由美先生毎月「あれ、思ったより少ない…」ってなるんです。額面と手取りって、なんでこんなに違うんですか?
篠原先生
篠原先生その差は「天引き」です。中身がわかれば、こわくないどころか、むしろ得できるようになりますよ。順番に見ていきましょう。
目次

そもそも「額面」と「手取り」って何が違う?

まず言葉を整理します。額面(がくめん)とは、会社があなたのために用意している給料の総額。求人票に書いてある「月給25万円」は、たいていこの額面です。一方の手取りは、そこから税金や社会保険を引かれて、実際に銀行口座へ振り込まれる金額のこと。

つまり、額面 −(税金+社会保険)= 手取り。この引かれる分を「天引き(控除)」と呼びます。天引きは勝手に引かれるので、多くの人が中身を見ないまま。でも、ここを知っているかどうかで、あとで大きな差がつきます。

額面 30万円の”ゆくえ”

額面(会社が用意する総額)30万円 手取り 約24万円 口座に振り込まれる額 天引き 約6万円 ▲ ここが増えるとうれしい ▲ 税金+社会保険 ※金額は月給30万円クラスのイメージ例。人により変わります。

「消えた6万円」は捨てたお金ではなく、税金と、将来の自分を守る”保険”に回っている。

何が引かれている?「5つの天引き」

天引きの正体は、大きく分けて2つの税金3つの社会保険、あわせて5つです。ひとつずつ、やさしく見ていきましょう。

税①

所得税:稼ぎに応じて国に納める税金。給料が多いほど税率が上がる仕組み(累進課税)。毎月ざっくり天引きされ、年末に「年末調整」で精算されます。
税②

住民税:住んでいる自治体に納める税金。前年の所得に対してかかるので、社会人1年目はほぼゼロ、2年目からグッと増えて驚く人が多いポイントです。
保①

健康保険:病院での支払いが3割負担で済むのは、これのおかげ。ケガや病気で働けない時の「傷病手当金」もここから出ます。
保②

厚生年金:将来もらう年金の土台。じつは障害を負ったときの「障害年金」や、遺族への保障も含む、掛け捨てではない保険です。
保③

雇用保険:失業したときの「失業給付」や、育児・介護で休むときの給付のための保険。金額は5つの中で一番小さめです。

「労災保険は?」と思った人へ。仕事中のケガなどを補償する労災保険もありますが、これは保険料を全額”会社”が負担するもの。だから、あなたの給料からは引かれず、明細にも出てきません。会社員が自分で負担する天引きは、上の5つと覚えておけばOKです。

💰 額面30万円の”内訳”イメージ

厚生年金 約2.7万/健康保険 約1.5万/雇用保険 約0.18万/所得税 約0.7万/住民税 約1.2万(2年目〜)。合計で約6万円が天引きされ、手取りは約24万円に。1年目は住民税がない分、手取りが少し多いのもポイントです(※あくまで概算例)。

「社会保険は引かれ損」は大きな誤解

天引きを見ると「せっかく稼いだのに、ごっそり持っていかれる…」と感じますよね。でも、社会保険は”損”どころか、民間なら高額な保険をまとめて買っているようなもの。たとえば健康保険がなければ、盲腸の手術で数十万円かかることも。それが3割負担で済みます。厚生年金も、老後だけでなく、事故で障害が残ったときの「障害年金」がついてくる。民間の保険で同じだけそろえたら、天引きより高くつくことも珍しくありません。だから、天引きそのものを”悪者”だと思う必要はありません。

亜由美先生
亜由美先生なるほど…!ただ引かれてるんじゃなくて、将来の保険にもなってるんですね。ちょっと見方が変わりました。
篠原先生
篠原先生そう。ただし――ここからが本当に大事な話。実はこの”引かれる額”、働き方しだいで大きく変えられるんです。

ただし、手取りは”働き方”で大きく変わる

ここまでは、あくまで「会社員(勤務)の場合」の話です。会社員は、天引きの額が制度でほぼ決まっていて、自分ではコントロールできません。でも、業務委託や独立(経営者)になると、話は一変します。

カギは「経費」。仕事に必要な支出を”経費”として計上できるので、税金のかかる所得そのものを小さくできるんです。つまり、同じ稼ぎでも、手元に残るお金の効率を自分で”設計”できるようになります。

💡 たとえば「自己投資」が経費になる

技術セミナーの受講料や交通費、専門書、施術で使う道具…。会社員だと全部”自腹”ですが、業務委託・経営者ならこれらが”経費”になります。経費が増えるほど課税所得が下がり、結果として手元に残るお金の効率がぐっと上がる。学びながら節税にもなる、というわけです(※事業に本当に必要な支出に限ります)。

篠原先生
💡 ここがポイント

会社員の手取りは”決められるもの”、経営者・業務委託の手取りは“自分で設計するもの”。「引かれるのはしょうがない」で終わらせず、こうしてコントロールできる道もある、と知っておくのが第一歩です。

もちろん、社会保険や税金を自分で管理する手間は増えますし、やり過ぎた経費計上はNG。とはいえ「働き方で手取りは変えられる」と知っておくだけで、将来の選択肢がぐっと広がります。くわしくは フリーランス(業務委託)独立開業 の記事や、今後の”経費・節税”の記事で掘り下げていきます。

会社員でも、今すぐできる手取りアップ

「じゃあ会社員は打つ手なし?」――いいえ。制度を使えば、今の働き方のままでも手取りを実質増やせます。知っておきたいのは、次の3つ。

ふるさと納税:実質2,000円の負担で各地の返礼品がもらえる(=住民税・所得税の前払い)
年末調整・確定申告:生命保険料控除や医療費控除で、払いすぎた税金が戻る
iDeCo(イデコ):将来のための積立をすると、その分の所得税・住民税が軽くなる

どれも「知らないと使えない」制度ばかり。今すぐ全部やる必要はありませんが、“こういう制度がある”と頭の片隅に置くだけで、いざという時に手取りを守れます。

「天引き6万円」の内訳を見える化

何に、いくら引かれているのか。額面30万円の例で内訳を並べると、こうなります。

天引き 約6万円のうちわけ

厚生年金 2.7万 健康保険 1.5万 住民税 1.2万 所得税 0.7万 雇用保険 0.18万

一番大きいのは「厚生年金」。将来の年金+障害・遺族保障の掛け金でもある。

よくある質問

手取りを増やすには、結局どうすればいい?
近道は2つ。①額面(給料)を上げる、②ふるさと納税やiDeCoなどの制度で払いすぎた税金を取り戻す。まずは②から。今の給料のままでも、手取りを実質増やせます。
ボーナスの手取りが、思ったより少ないのはなぜ?
ボーナスからも社会保険と所得税が引かれるからです。「額面の8割くらいが手取り」とざっくり覚えておくと、がっかりしにくくなります。
業務委託になると、手取りはどう変わる?
業務委託は社会保険や税金が天引きされず、額面がまるっと入ります。ただし社会保険・税金は”自分で払う”必要があるので、その分をよけておくのが鉄則。さらに「経費」を使えるのが会社員との大きな違いです。フリーランスの記事もどうぞ。
「経費にできる」って、具体的に何が経費になるの?
仕事に必要な支出です。例:技術セミナー・研修費、専門書、施術の道具や消耗品、仕事用の通信費・交通費など。プライベートな支出はNGですが、業務委託・経営者だからこそ使える”武器”です。
「年末調整」と「確定申告」って何が違うの?
年末調整は、会社が代わりに税金を精算してくれる仕組み。確定申告は、自分で申告する手続きです。会社員は基本、年末調整でOK。医療費控除やふるさと納税(6件以上)のときだけ確定申告します。
給与明細、どこを見ればいいですか?
「支給」(額面)と「控除」(天引き)と「差引支給額」(手取り)の3か所。特に”控除”の欄に、今日出てきた5つが並んでいます。一度じっくり見てみてください。
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今日の一歩:給与明細の「控除」を見てみる

今日やってほしいのは1つだけ。直近の給与明細を開いて、「控除」の欄を眺めてみることです。所得税、住民税、健康保険、厚生年金、雇用保険――今日知った5つが、そこに並んでいるはず。「正体不明の6万円」が「意味のわかる6万円」に変わるだけで、お金との付き合い方が一段レベルアップします。

この記事のまとめ
  • 額面 −(税金+社会保険)= 手取り。差の正体は「5つの天引き」
  • 天引き=2つの税金+3つの社会保険(労災は会社負担で、給料からは引かれない)
  • 社会保険は”損”ではなく、将来の自分を守る保険でもある
  • 会社員も、ふるさと納税・iDeCoなどの制度で手取りを実質アップできる
  • 業務委託・経営者になると、”経費”で手取りを自分で”設計”できる
篠原先生
篠原先生まずは明細を見て”正体”を知る。そしていずれは、働き方で手取りを”設計”する側にまわりましょう。「知らないから損する」を一つずつ潰していけばいいんです。
亜由美先生
亜由美先生はい!さっそく今月の明細、ちゃんと見てみます💪

お金の勉強をなぜ始めるべきか、は こちらの記事 をどうぞ。

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